ベトナムの旧正月(Tết)
ベトナム旧正月(テト・Tết)の概要
ベトナムの新年は旧暦(太陰暦)に準じており、西暦だと1月下旬~2月中旬にあたる場合が多いです。
西暦の元旦も祝いますが、日本で考える「正月」は太陰暦に準じており、西暦、太陰暦の双方を表示するカレンダーも数多いです。
なお、仕事等は西暦を採用していますが、季節行事には依然、太陰暦が使われ続けているので、ベトナム人にとって古い暦ではないため、旧歴・旧正月とは呼びません。
ベトナム人にとってのテトとは
ベトナム人が妻なので、テトには毎年妻の実家に滞在しています。
感じていることは、ベトナムの正月は忙しい!
- 明確な理由がなければ、結婚していても帰省は社会的にほぼ必須
- 普通は夫側の実家滞在を優先(私は日本人なので正月が被らないため、妻の実家に滞在)
- ベトナムにもお年玉の文化あり…親戚が多いので金額というより数的に大変
- 会社の部下にもお年玉をあげる文化あり
- 収入のある子どもは、父母にも、さまざまなお礼の意味でお年玉(という呼び方はしないが)をあげる
- ベトナムにも大掃除の文化あり。地方は広い家が多いので大変。
- テト前に衣服の新調
- 家の外装をきれいにリニュアルするケースも
- 親戚が集まってパーティをする。この準備と後片付けが大変。
- 親戚・知人訪問。アポなし。関係性や距離の近い親戚が優先される。
- 上記、アポなしなのでいつ来訪があってもいいように、お茶・お茶菓子・(昼間から)ビールの準備が必要。
親戚が集まってのパーティ
普通、テト=太陰暦の元旦以降に親族が集まってのホームパーティを行います
- 普段バラバラの親族が集まる良い機会
- 先祖へのお供え等、儀式的な意味
があります。
先祖への感謝、両親への感謝、親戚の交流(=助け合いにつながる)は日本では年々弱まっていると思います。
私は特に親戚交流に慣れている方ではなかったので、こういったイベントの「負担」を強く感じる方です。それでもやはりメリットがあることなので、あまり負担にならない範囲で日本でも社会を見直していくと良いなと思います。
高齢化社会で税金負担のみではにっちもさっちもいかなくなるならば、親戚同士の助け合いが再び見直されていく良い機会になるのではないでしょうか。
ベトナムの正月料理Bánh tét(バンテト)
もち米をバナナの葉で巻いて蒸したもの。おもに中部、南部で食される。
妻の両親は中部出身、実家は南部。なので私が食べたことがあるのは、Bánh tétがメイン。
Bánh tét自体、日持ちはするが味があまりなく、らっきょうや人参、大根などをNước mắm(魚醤のこと)で漬けたものと一緒に食べるとおいしい。
主に北部のお正月料理bánh chưng(バィンチュン)は日本でも有名。印象が似ているが別物。
なお、Bánh tétのTétは正月を表すTếtとは別物であることに注意。正月のTếtのeには、^の記号が入る。
お正月前には花市が立つ
上記の写真ではわかりにくいですが、お正月用の花として、おもに菊の花が好まれます。日本ではお葬式に使う花なのでカルチャーギャップを感じますが、先祖に祀る意味合いが強いので、そう考えるとギャップとも言えないかもしれません。
しかし儀式的な意味合いだけではなく、せっかくの機会だし、お客さんが訪れたりもするので、ついでにきれいな花を飾ろうという気軽な意味合いでも花が売買されます。
お正月の花
ホーチミンで咲くとお正月だなあという季節の花です。
Hoa mai(ホアマイ)
お正月の花。黄色。ホーチミンをはじめ、南部ではHoa maiが咲きます。日本で言う梅や桜みたいなものです。
Hoa đào(ホアダオ)
北部のお正月ではこのピンクの花が咲く。Đàoはももなので、ももの仲間のようです。
Hoa cúc(菊の花)
お正月特有というわけではありませんが、花市にご先祖さまに祀る菊の花が立ち並ぶのが印象的です。