ホー・チ・ミン氏に対して「ホーおじさん」という呼称は不適切です。

ベトナム人

「ホーおじさん」は誤訳

ベトナム社会主義共和国独立の指導者ホー・チ・ミン氏(Hồ Chí Minh)。

Bác Hồと通称されます。
カタカナで表記するなら、バックホーまたはバッホーが近いでしょう。

Wikipediaには下記のように書かれています。(2020/09/28時点)

ベトナム人民からは親しみを込めて『ホーおじさん(バック・ホー、ベトナム語:Bác Hồ/伯胡)』の愛称で呼ばれている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%B3

しかしこれは正確な表現とは言えません。

「ホーおじさん」では、あまりに親しすぎるように感じます。

ケンタッキーおじさんではないのですから。

ベトナム語では「Bác Hồ」のbácは、たしかに「おじさん」と訳することも可能です。

しかし、ベトナム人のいう「Bác Hồ」は尊敬の念が多分に含まれています。
「親しみを込めて」というよりも、「親愛の意を示すため」のほうが、日本語のニュアンス的には適切に感じます。

この「Bác」は「○○建国の父」「革命の父」の「父」に当たるような表現であり、全ベトナム人民にとっての伯父…「親愛なるホー伯父」くらいの意味です。…なお、Bácを本当に血のつながった親戚に対して使う場合、「叔父」ではなく「伯父」を指します。

ケンタッキーおじさんのように、対等(またはそれ以下)の存在ではありません。
※カーネル・サンダース氏はすごい人物ですが、一般に、ケンタッキーおじさんと言えば、ご本人ではなく、人形を指すものと思います。

ここでのBácには特別な意味が込められています。
その感覚が重要なので、無理に翻訳していいものではありません。

下記書籍に「ベトナム人にとってBác HồはBác Hồである」のような説明がありました。

まったく的を射た説明だと思います。「Bác Hồ」でひとつの呼称なのです。ホー・チ・ミン氏の生涯を理解した上でないと、この「Bác」は理解できません。一言で置き換えられる呼称ではないのです。マハトマ・ガンディーの「マハトマ」を翻訳せず、カタカナ読みするのと同じようなことだと思います。