味の素とベトナム料理
ベトナムの家庭ではよく味の素を使う、という話を聞いたことがあるでしょうか。
実は、日常会話で使われる「味の素」は、「Ajinomoto」ブランドの粉末スープを指す場合と、いわゆる旨味調味料の商品としてのAjinomotoを指す場合があります。
- ブランドとしてのAjinomoto
- 商品としてのAjinomoto
会話で出てきたAjinomotoがどちらの意味なのかは、推測するしかありませんので、ベトナム人同士でも誤解の発生する場合があります。
ブランドとしてのAjinomotoとは…。スーパーやコンビニで調味料のコーナーをよく見てみてください。Ajinomotoブランドの粉末スープが所狭しと並んでいます。こういった粉末スープ使って料理を作った場合に、「Ajinomotoを使った」と言うことがります。また、Ajinomoto以外も含んだ粉末スープ全般を指して、時と場合によって「Ajinomoto」と呼ばれる可能性もあります。セロハンテープのことを固有の商品名である「セロテープ」と呼ぶのと同じようなものですね。絆創膏をバンドエイドではないのにバンドエイドと呼ぶ感覚の方がより近いでしょうか。
つまり、「Ajinomoto」が粉末スープのことを指している場合もあるし、うま味調味料のことを指している場合もあります。
例えば、「この屋台のBun Bo Hueは、別の屋台と同じ味だね。もしかしてAjinomoto使っているかも」。旨味調味料の味の素を入れても、同じ味にはならないですよね。これは、Ajinomoto=市販の粉末スープという意味です。
どうでしょう。
ベトナムに来たばかりの日本人の間でよく話のネタになる味の素。
しかし…。
外食で、うま味調味料の味の素やそれに類するものが入っている可能性があるのは、日本も同じです。家庭で使う味の素の量も、人それぞれで一概には言えません。
料理に粉末スープを使う家庭が多いのは、日本も当然ながら同じです。
また、ベトナムで日本の和風だしにあたるものが、鶏ガラスープです。その鶏ガラも、粉末を使う過程は多いです。和風だしも毎日毎日自宅で作る家庭ばかりではありませんね。
日本と比較して、味の素の使用量が多いかどうかなんて、しっかり調査しないとわかりません。
Ajinomotoが料理の話題でよく出てくるとか (上記で説明)、 屋台で実際に味の素をたくさん入れているのを見たとか(何店舗見ての意見ですか?)、 スーパーに大きい袋が売られているとか(下記で説明)。
それらのことは、ベトナム人は味の素使いすぎ、などと言い張る根拠とはなりえないものと思います。
スーパーに行くと大きい袋で売られているのは、大家族が多いから消費が早い、長期保存できるので買いだめする方が割安になるなど、そういった理由から大きい方がよく売れるのだと思います。業務用でも買われることがありそうです。
ちなみに私の妻はベトナム人ですが、料理をする際、うま味調味料の味の素をいっさい使いません。
人によって違う。ただそれだけのことで、勝手にベトナム人の特色とすべきではないことと思います。