あてにならない「ベトナム人の特徴」
ベトナムに住み始めた頃、未知への不安から「ベトナム 文化」「ベトナム人 特徴」などで情報を集めました。ところが、住んでみて強く思うのは次の一点です。
「ベトナム人はこうだ」という話の多くは、事実というより“その人の経験談”に過ぎない。
参考にはなるが、鵜呑みにはできません。
「特徴」情報が危うい理由
人から聞いた話は、基本的に主観です。
主観ならまだ良いのですが、ときどき「本で読んだ」「誰かが言っていた」程度の話が、いつの間にか“確定した真実”のように語られます。
伝聞が重なるほど、内容は単純化され、断定が強まり、都合よく脚色されます。
それが「都市伝説っぽい文化論」を生みます。
例:子どもの頭をなでてはいけない?
検索すると、たまに見かける話があります。
「子どもの頭をなでてはいけない。理由は仏教の考え方だから」というものです。
私は妻を含め、複数のベトナム人に確認したことがありますが、反応はだいたい「???」でした。
そもそも、見知らぬ人に突然、子どもの頭をぐしゃぐしゃ触られたら怖いのはどこの国でも同じです。
まして乳児なら、衛生面や安全面の不安から嫌がる親もいます。宗教以前の問題です。
例:ベトナム人社員は「いつも奢らせようとする」?
ある会社の方が「ベトナム人社員はいつも奢らせようとする」と言っていました。
一方で、弊社では逆に、社員がどうしても奢らせてくれないことがあります。
こちらが「上司が奢るのは日本の文化です」と理由を添えないと、受け取ってもらえないことすらある。
つまり、ここで見えてくるのは「ベトナム人の特徴」ではなく、その職場で形成された“社内文化”や、個々人の価値観の違いです。
日本でも同じです。
理由なく奢られるのを嫌がる人もいれば、素直に喜ぶ人もいる。国籍で一括りにできる話ではありません。
「ベトナム人は〇〇」論は、だいたい全部当てはまる
よくある言説を並べると、こんな具合です。
- ベトナム人は転職しやすい
- ベトナム人は目先のお金が大事
- ベトナム人は「誰と働くか」を重視する
- ベトナム人は信頼されたい
- ベトナム人は家族主義だ
結局、どれも正解になり得ます。そして重み付けは、人によって違い、状況によって変わる。
私自身だって、お金は大事ですし、誰と働くかも大事です。信頼されれば応えたいし、家族も大事にしたい。
これは国籍ではなく、人間として自然な話です。
これからベトナムで働く・起業する人へ
起業当初に、他社からベトナム人や文化の情報を得ること自体は有益です。
ただし、それは多くの場合、**「その会社の社員の傾向」であって、「ベトナム人の一般法則」**ではありません。
仕事で本当に効くのは、“特徴の暗記”ではなく、次の姿勢です。
1) 文化論を「結論」ではなく「仮説」にする
「そういう傾向があるかもしれない」程度で留め、現場で検証する。
2) 行動の背景を見にいく
「え?なんで?」と思う場面ほど、家庭環境や経済状況、前職での経験、人間関係など、背景要因が効いていることがあります。
プライベートまで踏み込む必要はありませんが、必要な範囲で丁寧にヒアリングすると理解が進むことがあります。
3) “社内文化”は意図して作る
奢りの例のように、同じ国籍でも職場のルールや空気で行動は変わります。
キーマンの振る舞いと、運用の積み重ねで文化は作られます。
最後に
「ベトナム人の特徴」を探すより、目の前の相手を理解する方が確実です。
言葉も文化も違う以上、どうしても分かり合えない人がいるのも事実ですが、まずは相手の話と背景を丁寧に見にいく。
それは日本人同士でも変わりません。








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