ベトナムのサイン文化・会社印(社印)|契約書で本当に必要?割印は?
ベトナムの「サイン(署名)」と「会社印(社印)」の扱いは、日本と似ている部分もありますが、慣れないうちは混乱しやすいところです。
結論から言うと、個人はサイン中心、法人はサイン+社印の運用がいまも一般的です。ただし近年は制度面でも実務面でも、少しずつ変化しています。
個人:基本はサインで完結する
ベトナムでは、日常の手続きで日本の「認印」的な文化は強くありません。
個人としての同意・本人確認は、基本的に**サイン(署名)**で進みます。
法人:サイン+会社印が“セット”になりやすい
法人間取引では、いまも実務上はサインだけだと不安がられる場面があり、会社印を求められることがあります。
そして多くの会社で使われている会社印は、見た目が日本の実印というより、**スタンプ式(ゴム印に近いタイプ)**のことも珍しくありません。
日本だと「ゴム印=正式な印鑑ではない」という感覚があるので、最初は驚きますが、ベトナムではそれが普通に運用されています。
「サイン」と「氏名記入」は別物として扱われることがある
慣れないうちはここが特に混乱します。
- サイン(署名):本人確認のための“証明”
- 氏名の記入:誰が署名したのかを読み取るための“記名”
書類によっては、サイン欄とは別に「氏名記入欄」が用意されていることがあります。
契約書に社印は必須?:原則と実務を分けて考える
制度としては、契約の有効性が常に「社印の有無」で決まるわけではありません。
一方で実務では、相手の社内ルールや監査、銀行・役所絡みの手続きの都合で、社印が求められることがあります。
このため、現場の感覚としては次のように整理すると安全です。
- 交渉・契約締結段階:サイン+社印の“セット”を求められやすい
- 運用段階(請求、検収、社内回覧):社印があると通りが早いことが多い
- 例外(特定の書類):押印が前提になっているケースがある
割印(ページのつなぎ)はどうする?
公式文書や複数ページの契約書では、日本と同様に**割印(綴じ目の押印)**が使われます。
「全ページにサイン必須」という運用は、少なくとも一般的ではありません。
なお、割印については「片方の会社だけで足りる」という説明を見かけることもありますが、実務では双方が割印する運用のほうが安心で、トラブルも減ります。
サインは“真似しづらく、書きやすく”が実務的
代表者になると、日々サインする回数が増えます。
おすすめは次の条件を満たすサインです。
- 他人が真似しづらい(ただの漢字フルネームは再現されやすい)
- 自分は速く書ける(毎回の負担を減らす)
- 毎回の形が安定する(ブレると照合で面倒になる)
ベトナムでは、漢字を読めない人にとって日本語の氏名は十分に「サインっぽく」見えることがあります。
だからこそ、仕事で使うサインは、最初に設計しておくと後が楽です。
まとめ:迷ったら「サイン+社印+割印」で事故を防ぐ
制度上の正しさと、現場での通りやすさは別の話です。
特に法人取引では、相手の社内手続きまで含めて考えると、当面は 「サイン+社印(必要なら割印)」 が最も無難です。




