ベトナム人との仕事上のコツ・留意点

2018年5月25日仕事

前提として、私の来歴。

書籍編集、営業、Webエンジニア、中間管理職を経て、ベトナムで子会社を設立、現地法人代表として現在にいたる。

なので、基本的には

  • ベトナム在住
  • 管理者・経営者目線

であることにご留意を。

基本:根本は同じだし、性格は十人十色というのも同じ

私は過去に似たような記事を書いています。

ベトナム人社員と円滑なコミュニケーションを築くには両方の意識が必要です。

  • 外国人だからこそ、「違い」を意識する
  • 外国人だからこそ、根本は「同じ」と理解する

生まれ育った環境が違えば、考え方が違います。
これは当たり前。

生活環境が違えば、常識が異なります。
たとえば若い人の一人暮らしなら洗濯機がない家は普通です。手洗い。
それは一例であり、であれば家事に時間を割かねば生活が成り立たない。

しかし、外国人であっても人としての根本は同じです。

相手を理解し、自分を理解してもらった上でベトナム人と会話をすれば、相手はあなたの考えを受け入れてくれます。

ベトナムに慣れない内はあなたがベトナム人の考えを理解できないのと同様、あなたを理解していない間はベトナム人もあなたの考えを理解できないのです。

日本では「言わずとも察する」が美徳とされるがゆえ、この当たり前のことが、多くの日本人にとって、強く意識しなければ難しいのです。

日本人もベトナム人も十人十色

日本で管理職を経ずにいきなりベトナムに来た人は、管理職の難しさを体験しないまま、いきなり外国でのチャレンジとなります。

管理職になると、

  • ルールを守らない人間
  • 自分に反抗的な人間(または反りがあわない相手)
  • 自分の求めることに対して成果を出せない人間

さまざまな相手に対し「責任」を持つことで、懐が広くなります。

しかし、それを体験せずにベトナムで管理職・経営者をはじめてしまうと、「自分の言うことを聞いてくれない」ことに対して、耐性がない。

どこの国の人間だろうが、みな、一個人ですので、

自分の思い通りになるような部下はありえません。

会社設立時、またはベトナム赴任当初に考慮すること

日本の美化は禁物

日本人の前で日本のことを悪く言うベトナム人は少ないでしょう。

多くの若いベトナム人は「日本から学びたい」とおだててきます。

多くの場合、相手(日本人)を立てているだけではなく、おそらく本気でそう思っている部分もあるように思います。

しかも、実際日本人の多くは日本の便利さを知っており、ベトナムに来て日本のすごさを実感する。

だから、知らず知らず、相手への優越感を感じてしまいます。

しかし勘違いしないでください。

日本の技術は先進的かもしれません。
たしかに日本には名だたる大企業が存在します。

しかし、

あなたがすごいわけではありません。

当たり前じゃん、と。しかし意外。これは当初、頭で抑えつけていてもコントロールするのが難しい部分なのです。

なにごとも謙虚に、つつましやかに考えることで、想像力がうまれます。

最初は理解できない「なぜベトナム人はこういうのか?」がだんだんと理解できてきます。

最初から優越感をもって接していれば、その謙虚さは産まれてきませんし、「これはなぜ?」と質問したときに相手も本音を語りにくくなります。

「正しい」ことは何かを定義

何が正しいかを判断するには基準が必要です。

世の中に絶対に「正しい」ことはない。

まだ会社の空気(正しさ)のできあがっていない時期に、ベトナム人社員に正しいことをさせたいなら、

  • ルールを明確にする
  • 判断基準とするため、「経営者としてどうしたいか」の方針を明確にする
  • 明確化に文書化できないなら、日々の中で曖昧でもいいから考えを伝えていく

これは日本人が相手でも同様かと思います。
「察する」ことのできる人材のみ残すは、この時代、ナンセンス。

上から目線に気をつけよう

ベトナム人社員から見てあなたは、

  • 日本という「経済・技術先進国」と呼ばれる国から来た人です。
  • 日系企業なら日本人は上司であることが多いでしょう。
  • 上司でなくても、日系企業であれば重要な立ち位置とみなします。

無意識のレベルであっても、相手は敏感に察します。
上から目線がもともとの性格だとしても、相手は誤解します。

上から目線が具体的にどういうものかにもよりますが、上司ならそれも仕方ないのでは?と思う人もいるでしょう。

そうではなく、日本が上、ベトナムが下。
個人や指示命令系統ではなく、たまたまどこに産まれたかによって、上下を決める。

そんなのは自分はないよ!と思うかもしれません。

しかし、そのような態度に見える日本人を幾人も見てきました。
おそらく悪気はないのだろう。その気もない。けど、傍から見て、そう見えてしまうのです。

具体例として「なんでこんなこともわからないんだ」といういらだち。

これは相手が自分より格下だという思いが呼び起こすものです。

能力が低いから、経験値が低いから、意識が低いからできないと決めつけ、合理的な理由があるという発想にいたらない。

  • 「こんなこと」はあなたの親会社だけの常識ではありませんか?
  • 相手に前提や背景を理解させていますか?
  • 英語を使う場合、相手の英語力をしっかり確認し、相手にあわせた話し方をしていますか。
  • 通訳に伝達を依頼する場合、通訳にちゃんと理解してもらっていますか。

などなど。

「仕事だから仕方ない」は日本人特有

社員はあくまで労働契約に基づく労働者です。

労働契約にないことまで、幅広くなんでもできることを求め、結果残業の山となる…。

少人数なら仕方ないですが、十人以上採用できるなら、役割分担ははっきりさせることをおすすめします。

無論、幅広いことができるベトナム人はいくらでもいます。

ただこれはいくら素養があっても、メリットを提示しないまま強要しても成果は出難いもの。
私は日本での管理職経験もありますので、それは国にかかわらず同じだと感じています。

効率抜きに、ただ会社のために尽くすのは美徳とは思いませんし、感情論のみで求めるのはただの自己満足に思えます。

上司部下は契約上の関係性でしかない

上司・部下の関係を業務時間外まで持ち出すはやめましょう。

個人の時間でも目上・目下の関係性はあるので、ある程度はいたしかたないとして、それがパワハラちっくになってしまえば、日本でも嫌われます。

個人差はあれど、ベトナムでも業務時間内の上司は業務時間外でも上司です。

それが知らず知らずのうちに相手にプレッシャーを与えてしまうこともあります。

好き勝手やって日本人の悪評を広めないでください

いくら外国だから助けが必要と言っても、プライベートの時間まで、相手の都合を考えず、業務と直接関係ないことに巻き込むのはやめましょう。

ひどいものになると、浮気相手へのプレゼントを買わせる、横領への協力を強要、真夜中によびつけて大家と(自分のわがままのために)喧嘩させるなど…。

日本語の話せるベトナム人ネットワークで会社名つきで悪評が広まっちゃいますよ。

助けがほしいなら、あくまで、「お願い」の域を出るべきではないし、仕事として依頼するなら正当な報酬を支払うべき。

ベトナムと日本との言語の違いへの考慮

ベトナム人との業務に言語をどうするか

ベトナム語を習得するのが一番です。

伝言である限り、意図は正しく伝わりません。
間接的に伝わることで、他意ないことでも、相手を否定する意味で伝わる可能性もあります。
これは通訳の力は関係ありません。

人を挟む限り発生するリスクです。

仕事に使われるベトナム語だけなら、読み書きまでならそう難しくはありません。

日本語・英語もいいですが、相手が理解しているかどうか、しっかり確認しましょう。

一番通訳が困るのは、「結論のない話」です。

逆に自分が、「○○さんがなになにと言っていました」だけ聞いたら「だからなに?」となるのと同じことです。

というかそもそも仕事上での会話は結論は明確にさせましょう。

英語の場合、ありがちなのですが、口での会話だと、お互いに何言ってんのかわからない。

ベトナム人も英語の発音が「ベトナム語」発音の人はいますが、日本人もやはり「日本人ぽい英語」を話します。
どんなにすらすら英語を話す人でも、顔を見なくても最近、「日本人の発音だなあ」とわかるようになりました。
日本人である限り、「日本人英語」から抜け出すのは難儀です。

英語を話しても母国語に発音の影響をうけますので、発音体系が全く異なる、ベトナム人と日本人が英語で話しても、お互いに聞きづらいのは当然。

無意識レベルの「遠回し」を意識しよう

ご存知の通り、日本語は「遠回し」な言語文化です。

直接的に物事を言わない。

しかし異なるオフィス、言語の違い、国の違い。

明確でなければ伝わりません。

遠回しな結果、何を言っているのかが不明瞭だと、通訳も困ります。あとから「伝えてって言ったじゃない!」と言ったところで、実際そのまんまに翻訳したら中身がなかったのだからしかたない、なんてことも。

これは気をつけているつもりでも、染み込んでしまうと意識しないとなかなか抜けきらないものです。

個人差あれど、日本人である自分が聞いてすら何言っているのかわからない。

言語以上に、異なる場所で働くというのは、「前提」がわからないがゆえに、推測が効かなくなりますし、拠点間コミュニケーションとなると「意図を汲む」は逆に不明瞭な状態で推測で物事を進めるということです。これは日本人同士であっても危険なことです。

「ベトナム」という環境への配慮

人件費が低い=安くリッチな生活ができる、ではない

これは陥りやすい間違い。

ベトナムは日本に比べて人件費が安い。

ただこれは、日本より安い金額で日本のような生活をできるわけではない

日本の一般水準より金額価値の意味で低い生活環境で、それが普通だから、特に不満を持たないだけです。

ホーチミンで一人暮らしをしている20代の若者は、洗濯機を持っていない。

日本で3万円する洗濯機はベトナムでも3万円かかります。

ホーチミンの大卒新卒給与は、業種・職種にもよりますが、およそ額面3万円前後と言われています。

節約生活を何年続ければ洗濯機を買えるの?というレベルなのです。

ベトナム内の相場としては高い給与を払っているとしても、同じ社内の日本人と比較したときに、「日本人というだけで」給与が高く設定されていると感じさせてしまった場合に、ベトナム人社員の納得感はあるのか。ということにもつながります。

家庭環境への配慮

奥さんのいる男性社員

「妻が勝手に他社にエントリーした。受かってしまったから転職する」

本当かどうかわかりませんし、本当だとしても本人にまったくその気がなければ、面接自体、いかないでしょう。

しかし、総じて20代、30代の若い家庭は、奥さんの意見が強いケースが多いように思います。

本末転倒とならない程度に、家族への「良い会社」アピールを心がけた方がいいでしょう。

というのは、仕事だから仕方ないわね、日本だけの理屈だと言い換えれば、もっとわかりやすいでしょうか。

給与が一番の転職要因になりますので、次善策ではありますが、

  • 社員旅行などの社内イベントには奥さんも招待して親密度を増す
  • 年二回ある「女性の日」には会社から男性社員を通じその奥さんに花をプレゼント

などなど。

これは「良いかもしれない」であり、必須ではないのであしからず。
ただ、社員旅行に家族を呼ぶケースは比較的あるようです。

夫のいる女性社員

夫よりも子育てが始まってからですね。

[例]
産休終わった。
「さあ、お母さんに子供を預けて働き始めるぞ」
育児方針での衝突、お母さんから「もっと自分で育児しなさい」など…。
結果、退職。または、より近場への転職。

宗教上の配慮

ベトナムでは仏教徒の他、キリスト教徒も多いです。

誕生祭、クリスマス(Noel)など、重要なイベント時に残業…となると、彼等にとって些事ではありません。

尊重しましょう。

ベトナムで考慮すべきルール

以下はすべて、2018年5月時点の情報なので、後日変更となる可能性もあります。

土曜日と祝日が重なった場合も振替休日あり

日本では土曜日が祝日でも振替休日は発生しません。

ベトナムでは振替休日となるのが一般的です。

一般慣習を考慮しましょう。

土日祝日の出勤手当

土日祝日は2倍から3倍、深夜だとさらに増えます。
残業代が高いので、気をつけましょう。

女性は生理の日に30分の有給を取れる

女性は毎月勤務時間のうち最大3日間、任意の30分を有給での休憩できます。休憩ではなく早退・遅刻として使ってもかまいません。

本当に生理かどうかを確認するわけにはいきませんので、申告に基づいて機械的に処理する方がいいでしょう。

女性は出産後、子供が1歳になるまで30分の有給を取れる

生理の有給休憩と同様です。

なお、日本では普通、保育園に入るまで産休を取るので、1歳と聞くと疑問符が浮かぶと思います。

が、ベトナムでは社会保険で出産後、6ヶ月分の基本給が支給されます。なので、それにあわせて6ヶ月休む女性が一般的です。

ネット上に跋扈するベトナム人の特徴のウソ

ウソ1. ベトナム人は目先の利益しかみない

そんなことはありません。

人によりますし、「目先の利益」の基準はいったいなんでしょうか。

今まで納得できる説明に出会ったことはありません。

ウソ2. 共有を禁じても給与は共有される

そんなことありません。

100%「禁止」が守られるという意味ではなく、人によります。

そもそもが、日本だって、わかったものではありません。

新卒時、私自身、同期の給与を知っていました。

若い人は他人の給与を知ったところで、だれも良い思いをしないことを、知らないのです。

これは、ベトナム人だからではなく、若い人特有の現象だと思われる。

ウソ3. ベトナム人を叱ってはいけない

ウソです。

理不尽な怒られ方をすれば、不満を持つのは、日本もベトナムも変わりません。

特に

  • 言語の違い
  • 前提となる常識の違い
  • 相互理解の不十分

によって、「叱られることに慣れていない」と感じるケースが多く、このような誤解がうまれたのではないでしょうか。

また、ベトナムではIT企業が盛んに進出しており、転職が非常にしやすいことも、「叱ったら辞めた」となりやすい要因であると思われます。

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